平成13年9月29日(土)PM1:30〜PM4:00 開催
セミナー 「子どもをインターネット有害サイトから守る」

場所:太田市役所情報センターセミナールーム

主催:太田市NPOセンター・太田市
    市民立NPOカレッジ
    (子どものインターネット利用を考える会)
大人として、子供達のインターネット(携帯電話)利用にもっと関心を持とう!!
群馬大学社会情報学部 下田博次(NPO、情報メディア論研究)
 本や映画、テレビ、電話などメディアの進歩は人間社会を進歩させると言われますが、そのメディアも使い方を誤ると害になります。我々大人はそのことを知っているから子供達を、アダルトと認められる内容のビデオや書籍、雑誌などから遠ざけるように努力してきました。

 これまでも我々大人は、街の成人モノの映画館には子供を入れないようにしたり、テレビのような茶の間のメディアでも、子供に見せたくない放送番組が始まれば、チャンネルを変えたり、スイッチを切ったりしてきました。電話でも、知らない大人から我が子にかかって来たのなら、どんな人物か確かめようとしたり、危険な匂いを感じたら子供には取り次ぐことなく切ってしまう。それが常識と考えてきました。

 それなのにインターネットを使う子供達には、なぜ無関心なのでしょう。インターネットから情報を受けたり発信するためにパソコンや携帯電話を使う子供達は、これまで大人が接してはいけないと教えてきたアダルト情報にも自在にアクセスできるのが現状です。このことを我々大人は問題にしていないように見えます。子供達がインターネットを使ってどのような友達、知り合いを増やしているのか。そのなかには子供に危険なことをしかけてくる大人はいないのか。そんな当たり前の心配も、あまりしていないように思えます。最近のインターネット利用に関係した青少年の犯罪や被害の増加をみるにつけても、そんな疑問が生じます。

 心配をするということは、お節介なのでしょうか。いや、それは大人としての役割であり、子供達への愛情なのではないでしょうか。少なくともインターネットを生み出した国アメリカでは、親や教師、大人達がそう考えて、IT時代の役割をはたそうとしています。米国市民は大統領や政府など行政職員やインターネット・サービス業者とともに全国規模の「子供をインターネットの有害情報から守るサミット」などを開き、IT時代に生きる次世代を健全に育てようという努力を、この10年間続けてきました。ただITを使え使え、というだけではないのです。

 アメリカの人々は史上で最もパワフルなメディアとして姿を現し、これからさらに機能を向上させようとしているインターネットに注目しています。そしてこれまでの映画やテレビと同様に、このスーパーメディアの良さばかりでなく問題点も理解したうえで、こんなことを言います。「インターネットは判断能力や責任能力に欠ける子供達にとって無条件で良いと言えるメディアではない。だからそれを買い与え、勝手に使わせるのは親の責任放棄になる」

 彼らは、子供達に「インターネットでも、やっていけないことはある。好き勝手はダメ」とはっきり教え、子供達がパソコンや携帯電話でインターネット利用するときに危ない使い方をしていないか気にかけ、常に子供達がインターネット利用で良いこと悪いことを区別し、判断力を高めていけるようにサポートしてきました。
 私達日本の親や大人も、欧米の大人と同じように、インターネットの良さと悪さを識別する勉強をし、子供達に判断能力をつけさせる努力をするべきではないでしょうか。
IT市民セミナー 
インターネットは子供の健全な成長を助けるメディアか?
〜考えよう子供たちのIT利用

協働(コラボレーション)プログラム 2001・9・29
おおたNPOセンター、太田市、市民立NPOカレッジ(子供のインターネット利用を考える会)
○子供達の世界に広がるインターネット
 21世紀は、活字、電波メディアの時代からインターネットというコンピュータ通信メディアの時代になっていく。そういう認識が急速に広がっています。現に日本でも高校から中学さらには小学校でもインターネットの使い方(操作法)を教えることになりました。これからは米国と同じように、日本の社会でも少年少女のネット・ユーザーがふえてゆくことでしょう。

 インターネットは「書籍やテレビ以上の知的能力向上メディアを作ろう」という欧米の科学者、技術者、市民の夢の結実として世界的に発展してきました。それはこれからの教育や産業経済活動をグレードアップする知的手段として発展が期待されています。またインターネットは子供達にとっても、より楽しい遊びのメディア、より便利な学習手段となりつつあります。21世紀に生きる子供達にとって、インターネットリテラシーはますます重要な問題になってきました。

○インターネット時代の大人、親の責任と役割
 さて新世紀を拓く期待がかけられたインターネットですが、一方ではその危険性も指摘されています。もともとインターネットは金儲けや欲望刺激のためではなく、非営利の市民公益活動や相互扶助的ネットワークを実現するためのメディアとして発展してきました。しかし1990年に入り、特に日本では90年代後半から、次第に営利追求目的の利用,欲望刺激的情報発信が急増し、ついには「インターネット利用には自己責任がともなう」と言われる状況になってきました。つまり自己責任能力や判断力の乏しい子供の利用が問題視されるようになってきました。「インターネットは未成年者に無条件で薦められるメディアではない」という認識が広がってきたと言い換えてもよいでしょう。

 実際にインターネットを産み出した米国の大人や保護者達は、20世紀末に10年以上もの時間をかけて「インターネットは子供のためになるメディアか」というテーマで議論をし、インターネットを子供たちに安全に使わせる方法を探ってきたのです。一時は、その過程で「子供達にインターネットを使わせないほうがよい」という主張も強くなりました。しかし米国の大人達は21世紀になって、ようやく「インターネットは危険なメディアであるが、これからの子供達にとっては必要であり魅力的なメディアだ。だから大人も子供達と一緒にインターネットの良い使い方を考えていかなくてはならない」という結論に達したのです。

 日本では、残念ながら未だそのような社会的な議論は起きていませんが、学校や家庭で心ある教師や保護者達がこの問題に取組みはじめていることは事実です。例えば今回のセミナーも、そうした取組みの現れのひとつといって良いでしょう。

 問題は日本でもこれから「子供の成長を助けるインターネットの使い方」を考えるにあたり、そのための手がかりや学習素地があまりにも貧しいということです。日本社会ではiモードなどインターネット製品技術の発達に追い立てられる状況ばかりが目に付きます。     とはいえ我々も次の時代を担う子供達のために、大人として、あるいは親としての責任、役割をはたさなくてはならない状況が色濃く出てきていることは否定できません。

 この問題の解決には社会的な合意形成や新しい文化の創造さえ必要になると思われます。そのような大きな課題に立ち向かうためには、互いに励ましあい協力しあう協働的学習のネットワークを作らなくてはならない。そうした思いからこのセミナーが生まれました。どうか未来のネット市民を育てる試みにご参加ください。
講師紹介 下田博次 先生
群馬大学社会情報学部大学院研究科教授
特定非営利活動法人「市民立NPOカレッジ」理事

 1942年、愛知県生まれ。早稲田大学第一商学部卒業。
 (財)日本情報処理開発センター調査主任、日本開発銀行産業技術研究会・研究委員、通産省コミュニティナレッジ研究会・委員、青森放送株ヤ組制作及びパーソナリティ、FMぐんまパーソナリティ、情報通信ジャーナリズム研究会代表補佐等歴任し97年から現職。
 NPO法人「市民立NPOカレッジ」理事、環境NPO「富士山クラブ」理事等NPO活動を自ら実践。