米国調査報告          
※ここに掲載した報告書はまだ未完成のものであり、実態とは違うものになっている場合もあります。転載等はご遠慮ください。尚、コメントは当事務局へいただけますよう、よろしくお願いいたします。

■Internet Content Rating Association<ICRA> 
                    (http://www.icra.org
1.住所等

1001 Connecticut Avenue, NW Suite 501, Washington,D.C. 20036
Phone: (202)331- 8651 Fax: (202)331- 8655
Email: info@icra.org. URL: http://www.icra.org/

2.調査日時
  平成14年8月8日(木) 10:00〜

3.対応者
  Mary Lou Kenny女史

4.組織の基盤等
○設立の経緯
 ICRAは、90年代半ばにビデオゲームのライティングを目的に設立されたRecreational Advisory Software Councilから発展したものであり、99年にインターネット業界のリーダーによって設立されたNPOである。
 インターネットが普及すると、ラベリングを拡大する必要性が生じた。そこで国際的なグループが集まって、米国だけを対象にしたものではない新しいフィルタリングメカニズムを開発することを決定し、その結果ICRAが設立された。
 インターネットプロバイダーの権利を守りながら、インターネットを子どもに安全な場所にすることを課題としている。  

○会員等の人数、属性等
 全員がフルタイムの職員。対応者は政府、放送関係の仕事を長く経験してきた。その経験を活かし、広いネットワーク、組織の上層部と対等に話ができる人間は、これらフィルタリングの問題が将来解決されるために必要であろうと感じ、この職についた。
 対応者はメンバー勧誘、資金調達、法・規制のモニタリングなどの業務を行っている。その他ソフト開発専門の職員もいる。
 ICRAのメンバーになるメリットは、世界的な業界リーダーと同じテーブルで社会・公共政策や将来的な技術の方向性、どんなツールやメカニズムを開発することが必要な、どうしたら子どもを保護できるかなどの問題について議論できること、米国の西海岸と東海岸で開催される年2回の会議に参加してプレスリリースなどに社名を連ねることで顧客や政府の信頼や認知を得ることができること、ビジネスや公共政策に役立つプレスリリースやPRをICRAがやってくれること、また子どものオンラインセイフティーの専門家として講演の機会が生じること、などである。
 しかし最大のベネフィットは、自主規制を推進するリーダーとして積極的に活動できることである。

○役職員その他の組織体制
 メンバーシップ組織であり、昨年9月までは設立メンバー企業しか認めていなかったが、規則を変更して他の企業の参加できるようにした。

○活動拠点、活動地域
 本社はイギリス。その他フランス、ブラッセルにもオフィスがあったが、先月閉めたばかり。米国に2箇所オフィスがあり、6名の職員がいる。年末までにアジアにもオフィスを開設する予定。二人職員が増える。

○収支の実態、収入の内訳等
 年会費は、従業員が100人以上の企業は30,000ドル、100人以下は15,000ドル、非営利団体で100人以下は5,000ドルとなっている。年間収入は80万ドルから100万ドルとなる。
 ソフト開発の予算は、EUの補助金100万ドルでまかなった。


5.「子どもとインターネット」関係の現状や取組及び問題認識
○取組に至る背景、経緯等
 修正第一条の観点からも、インターネットプロバイダーの権利を守ることは大事である。
 インターネットは保護者にツールを提供することによって、政府の介入を必要として自
主規制の世界であるべきである。
 ICRAは技術関連企業によって設立された組織だが、技術が子どもを保護できるとは考えていない。社会・公共政策、教育、保護者の参加などが必要だと考えている。



○ システム概要
 自主規制がベストだという考えで、過去2年間の活動を通して自主的なセルフラベリングソフトとレイティングシステムを開発している。
 過去1年半では45項目あるアンケートを国際的な企業に記入してもらっている。
 その結果フィルタリングソフトに対する大きな不満は意図した以上の情報をブロックしてしまうのではないかということだった。全体的な内容を無視してブロックされてしまうという懸念が強い。そのため自主的にラベリングが支持されている。
 2000年にラベリングシステムを公開し、2002年春にはフィルタリングシステムが完成し、ホームページから無料でダウンロードできるようになった。マルチユーザー向け、個人向けにフィルタリングの度合いを設定できるようになっている。
 イエス/ノーテンプレートは、子どもにふさわしいサイトが事前に設定されているものである。ジーン・ポリ−さんが作成したテンプレートをICRAフィルターと合体させることができる。人権保護の団体が作成したヘイトサイトを排除するテンプレートと組み合わせたりしている。また、子どもが映画や音楽をダウンロードするときに保護できるようにMPAAのPG13というレイティングとも組み合わせることができる。
 全部のインターネットサイトをラベリングするのは無理なので、このような他の団体の作成したデータと統合できるシステムとし、ユーザーフレンドリーで、基本的に保護者の判断で設定できるようなシステムとなっている。
 ICRAは非営利団体なので、他のフィルタリングシステムを制作している企業と競争しているわけではない。子どもを保護するためにベストなツールを保護者に届けたいと考えている。保護者が使いやすいようにオプションは多いほど良いと考えている。
 ラベリングについては小規模サイトの方が上手くいっていた。
 ヤフーやAOL、ebayなどのサイトは変化が激しいので、ラベリングが難しい。ヤフーとマイクロソフトとは協力してHTTPにラベリングを取り込むことにした。
 オープンソースを実現しようとしている。現在のフィルタリングシステムはPICS基準に従っているが、これをXMLに移行させようと考えている。
 ebayやアマゾン、ヤフーは、ナチスドイツ関連商品を販売していることで、イタリア、ドイツ、フランスでは違法と批判されている。このように国際的に法律が異なる場合も地域別にブロックすることが可能なシステムである。
 広告のラベリングや電子メールのラベリングも可能であるが、あまり効果的だとはいえない。現在、ギリシャとスペインの企業と協力して、全てのフィルタリングシステムを採用したプラットフォームをつくるコンセプトについて話し合っている。これは2003年1月が期限となっている。
 ラベリングは、成人向けサイト、カジノサイト、商業的な子どもサイトを対象にしたが、まもなく限界質量を達しそうである。
 テレビ番組のレイティングは失敗した。3年前からVチップが導入され受信機にも搭載されているにも関わらず誰も使っていない。ただ、テレビとインターネットは異なるメディアである。インターネットを介した誘拐の危険性はテレビにはない。そのためテレビのレイティングが失敗したようにインターネットのレイティングも失敗するとは考えていない。
 ゲームのレイティングを担当するESRVとは現在協力関係にない。しかし、多様な団体と親密に協力してやっていく必要があると考えている。この考えから発展したのが、前述のプラットフォーム開発プロジェクトである。しかし、そのためにはお金と時間がかかり、それが障壁になる場合が多い。
 ユニバーサルガイドラインについては知らないが、インターネットのような国際的なメディアに一つのガイドラインを当てはめることができるかどうか疑問である。技術的なユニバーサルガイドラインであれば理解はできる。


○ 成果物等の家庭への提供、その他広報啓発活動等
 システムの構築が完了したので、ICRAの次のステップはパブリックエデュケーショナルキャンペーンである。
 このキャンペーンは、ナショナルアーバンリーグ、ガールスカウト、チャイルドネットのような団体と協力して実施する。もっと予算がとれればあと二つ団体を増やしたい。すでに提案書を作成しており、政府や民間基金、企業などから資金調達の段階にある。
 このシステムは、非営利団体にはライセンシング契約を結べば無料でICRAシステムを使用することができるようにし、営利団体には有料とする。
 多くの団体は学校や図書館でキャンペーンを行っているが、家庭を対象にしたものがない。そこで家庭をターゲットとしたキャンペーンを行うことにした。
 まず、5つの州の20の地域を対象に、オンラインとオフラインのトレーニングツールを開発する。全国的な組織で地域に支部を持っている団体と協力して、保護者と子どもを対象にしたワークショップを開催する。親と子が、インターネットやリスクや問題について話し合えるようにする。
 各家庭が、独自の価値観でインターネットの利用に関する規則をつくれるようにする。オンラインでもトレーニングできるようにしたい。
 また、このような運動を実施する予算を持たない地域は、企業に協力してもらってツールを制作してもらう。これが企業にとってはブランドの認識を高める機会となると考えている。このように多様な事情のある地域で取り入れられるキャンペーンにする。
 このキャンペーンには3つのツールがある。一つは子ども人権宣言、子どもを守るためにすぐできる10の方法、契約書モデル、である。契約書では保護者がやること、子どもがやること、などがリストされており、これに親子で署名するというものである。契約書のモデルなのでこれを参考に各家庭で独自の契約書を作成することが可能。

6.他団体との連携等
○政府機関や関係業界との連携
 自主規制を支持する団体なので政府の法案作成などには参加していない。ALAとも意見が対立しているわけではない。我々は自主規制がベストだという考えでおり、インターネットのようなダイナミックで国際的なメディアには一政府の規制は役に立たない。
 保護者の参加を高める一つの方法として実施したのが、AOLのGirl Rock on the Netというコミュニティーとの協力である。6〜9歳の娘をもつ親子のコミュニティーサイトだが、操作を簡便にして、パーティーのような楽しい雰囲気をつくることができれば関心が高まり参加が増えるようだ。
 関心が高まるもう一つの要因は「恐怖感」である。米国ではインターネットを通した誘拐が増えて注目されている。またインターネットに関する親子の知識のギャップにも脅威を抱くようになっているようだ。
 子どもを保護するツールの開発を自主的に率先して行っていることが、AOLやヤフー、マイクロソフトにとって大きなプラスになっている。



○取組に対する外部からの評価、リアクション等
 ICRAは自主規制を支持する業界の意見を議会に反映させる目的で設立されたが、この1年ほどでICRAに参加するのはカスタマーサービスやビジネスのためになるというような考えに変化している。それは、子どもを守ろうとする消費者の関心が高まったためだが、ebayやDell、ディズニーなども参加するようになった。
 ディズニーは、96年には全ての消費者受けするような団体のメンバーになっていたが、特に効果的だと感じられなかったのでほとんどの団体から脱退している。ディズニーは子供向けの企業なので特に立場を証明する必要はないと感じていた。しかし、インターネットと子どもの問題がこの半年で米国だけではなくドイツやフランスで大きな注目を集めたため、ビジネスや行政にも影響を及ぼすようになった。たとえディズニーでも、自主的にラベリングを行わなければ、PCの設定によってアクセスできないサイトになってしまう可能性がある。保護者にブロックされたくない、サーチエンジンにブロックされたくない、などの理由でメンバーに加入している。
 フィルタリングシステムが公開されたのは2002年3月で、米国、ドイツ、フランスで合計45,000のダウンロードがあった。
 日本では財団法人インターネット協会の国分明男氏がICRAのシステムを採用しており、アジアにも普及させようとしている。


○問題点、課題等 
 ICRAが直面する問題の一つは、自主的なラベリングである。セルフラベリングには長所と短所があり、全てのサイトをラベリングするのは非常に難しい。そのためにテンプレートなどのアイディアで補足しようとしている。
 二つ目の問題は予算で、米国を始めITバブルがはじけたり、景気が悪くなるとICRAのような非営利団体に回ってくる予算も少なくなる。今後半年ほどで状況が改善しないとメンバーシップで成り立つICRAのような組織の運営は危なくなる。
 三つめの問題もお金に関係がある。米国を始め日本やヨーロッパで関心を高めようとすると、いくら素晴らしいシステムがあってもお金がかかる。これは大きなチャレンジとなる。
 全てのコミュニティーで使用できる柔軟なツールを開発すること、各家庭の価値観に合わせられるシステムの開発もチャレンジだと言える。またそういった素晴らしいツールのもとへ人々を引き寄せることも、この多忙な社会では難しいことである。
  
○海外との連携
 ICRAのシステムはコンテンツ制作者側にも保護者側にも有効なシステムであり、異文化にも対応できるシステムだと考えているので、日本でも広く使用されることを期待する。この問題を解決するためには世界中で取り組む必要があり、ICRAシステムを日本でも普及させたいと考えている。今後、この機会を活かし、是非協力してやっていきたい。

7.某フィルタリングメーカーのパンフレットより抜粋
○セルフレーティング(PICS/ICRA)
 情報発信者や第3者機関が発信情報に対してレイティング(格付け)した内容に対して、受信者(利用者)が望むレベルで規制を行なう方法で、主にPICS/ICRAルールが採用されています。

○問題点
  理論的にはすばらしい方法ですが、法的な制約がない為、虚偽の申告や第3者機関の格付け後に内容を変更するケースが多いため、信頼できる規制精度を提供できていません。
  すでにMicrsoft社のInternetExplorerにも搭載されている機能ですが、規制精度の問題点がありあまり活用されていません。また、Netscape社は実用性がないとの判断からこの機能を排除しました。


8.コメント
<菅野>
 日本では財団法人インターネット協会の方が、ICRAの理事として協働されて、SFSサーバーとラベリングサーバーの無償提供をしている。
 しかし、教育現場では、使われていず、かなり高額なフィルタリングソフトが使用され、導入後、2年目からは保守料が払えず、使われなくなってしまっている。また、安いソフトは使い物にならないのが現状である。ICRAに対しての批判もあるが、今、無償でラベリングを提供してくれるのはここしかない。
 そこで、日本でもこのデータベースをよりよいものにしていくために、教育現場、図書館、子どもの関係する団体、NPOと一緒にこのラベリングサーバーを発展させ、ブラックリストだけではなく、ホワイトリストに発展させていく運動が必要と思われる。そのためにも、ICRAの全国キャンペーンを日本でも行なっていく必要があると考える。

 ICRAの子ども向けのメッセージを原文であげておく。フィルタリングとは関係なく、このようなことを、保護者ともども考えていくキャンペーンをICRAと共にやっていくべきではないかと考える。

<Parent Contract>
I know that the Internet can be a wonderful place for my kids to visit. I also know that I must do my part to help keep them safe on their visits. Understanding that my kids can help me, I agree to follow these rules:

1. I will get to know the services and websites my child uses.
2. I will set reasonable rules and guidelines for computer use by my children and I will discuss these rules and post them near the computer as a reminder.
3. I will not overreact if my child tells me about something "bad" he or she finds or does on the Internet.
4. I will try to get to know my child's "online friends" and Buddy List contacts just as I try to get to know his or her other friends.
5. I will try to put the home computer in a family area.
6. I will report suspicious and illegal activity and sites to the proper authorities.
7. I will make or find a list of recommended sites for children.
8. I will frequently check to see where my kids have visited on the Internet.
9. I will seek options for filtering and blocking inappropriate Internet material from my children.
10. I will talk to my kids about their online explorations and take online adventures with them as often as I can.


<Child's Contract>
I know that the Internet can be a wonderful place to visit. I also know that it is important for me to follow rules that will keep me safe on my visits. I agree to the following rules:


1. I will choose a safe and sensible screen name for myself that will not reveal personal information about my family or me.
2. I will keep my password private, except from my parents. I will not sign up for other e-mail accounts without my parents' approval.
3. I will not put my personal information in my profile. I will not share my personal information, or that of my parents or any other family member, in any way, shape or form, online or with someone I meet online. This includes, but is not limited to name, address, telephone number, age or school name.
4. I will treat others the way I want to be treated.
5. I will use good manners when I'm online, including good language and respect. I will not pick fights or use threatening or mean words.
6. I will make my own personal safety my priority, since I know there are some people who might be online and pretend to be someone they're not.
7. I will be honest with my parents about people I meet online and will tell them, without always being asked, about these people. I won't answer any e-mails or instant messages from anyone my parents have not approved.
8. If I see or read things that are bad, icky or mean, I will log off and tell my parents so they can make sure it never happens again.
9. I will tell my parents if I receive pictures, links to bad sites, e-mail or instant messages with bad language or if I'm in a chat room where people are using swear words or mean and hateful language.
10. I will not send anything to anyone I've met online, without my parents' okay. If I get something from someone I've met online, I'll tell my parents immediately (because that means they have my private information).
11. I will not do anything that someone I've met online asks me to, especially when I know it's something my parents would not be happy about or approve of.
12. I will not call, write a snail mail or meet in person anyone who I've met online without my parents' approval or without a parent coming with me.
13. I understand my parents will supervise my time online and use software to monitor or limit where I go online. They're doing this because they love me and want to protect me.
14. I will teach my parents more about the Internet so we can have fun together and learn cool new things.


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